海外に行って実感するお金の価値

外国でも通用するお金があることに気付いた日

もう四半世紀ほど前になりますか、香港経由で初めて中国への旅行に出かけました。
業界の展示会がシンセンで開催され、その展示メーカーとして友人の会社がご指名にあずかりました。
その随行員としてビザが取れるというので参加しました。
業界の友人たちが7-8名集まったように記憶しています。
当時国交がなかったせいですかね、伊丹の国際ラウンジで外国のお金と交換ができず、とりあえずドルを買って出かけることになりました。
香港に入ればドルから簡単に交換できると聞かされたせいもあります。

香港で2日ばかり観光してから、列車でシンセンに入りました。
当時から香港と中国には人の交流がかなり盛んに行われていて、国境付近は大混雑とはいかないまでもそれなりの人出があり、実際朝夕に通勤時間帯には雑踏が出現していたようです。

ホテルへ入っていつも現地の出版物を買うのがぼくの習慣でしたから、シャワーを浴びてニューススタンドを探しに出かけました。
タバコと新聞、それに英字紙を買って中国から見れば外国のお金になりますが、ドル札を取り出しながら、これでは受けてもらえないだろうな、と思ったのですがまぁ横着者のぼくとしてはあたりまえのようにそれで支払をしようとしたのです。

すんなり受け取るんですねぇ、これが。5ドル紙幣を出して2ドル分ぐらいを中国のお金で受取れるつもりでいたところ、見事肩透かしを食らいました。
お釣りはない、というのです。

ドルでのお釣りでなくても良いと言ったのですが、これは通じません。多分店員はドル札をそのまま自分の懐に入れて、ポケットから自国紙幣を出しておいたのでしょう。

まだまだ日本が経済的に突っ走っていた時代ですから、ぼくらの鼻息も荒くしかも年も若かったのでこれは何かに使えないかとさっそく友人たちと相談。夜遊びの時に使えるだろうという結論になり、その夜ホテルの地下にあるディスコへ出かけました。
ぼくは現地の出版物に興味があったので、外国の通貨であるドルなら多少問題のある出版物でも手に入るだろうと期待していました。
結果ですか?
残念ながらディスコに出入りしている連中はいわば共産党幹部の子弟なのでしょうね。反政府的な出版物の手持ちがあるわけでもなく、そもそも外国通貨を出して、そのお金で欲しがるものがあったとしても、またそれを自宅なりに持っているとしても、ディスコで楽しんでいるのを中断して持ってくるほどの気概はなかったようで、すべては空振りにおわりました。
今になれば当時の元気な自分を楽しく思い出します。

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